働きアリの流儀

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SF映画から読み解く未来

皆さんこんにちは。今日は「SF映画と未来予測」というテーマで考察していきたいと思います。私の趣味の1つに映画鑑賞があるのですが、その中で特に興味があるのはSF映画です。なぜなら、SF映画は未来を予測するという点でビジネスに大きく役立つからです。

実際、米国にはScience Fictionというナラティブを活かしてコンサルティングを行うSciFuturesというコンサルティング会社があります。この会社は、何人ものSF作家と協力して、エクスポネンシャル(指数関数的)なテクノロジーや社会の進化を描いて、企業が今後の戦略をどのように描くべきかを支援しています。

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今の時代はVUDAと呼ばれることが多く、先行きが不透明で将来の予測が困難な状態ですが、何事にも目指すべき方向性が必要ですし、想定し得る複数のシナリオをもって行動する企業とそうでない企業では大きく行動が異なってきます。そして、未来は今の時代の延長線上にあるというライナー(直線的)な思考をしていては、いざ大きなイノベーションが起きたときに対応できなくなります。

そこで参考にすべきものの1つにSF映画が挙げられるのです。今回は未来を予測したと言われる有名なSF映画をいくつか紹介していきながら、エクスポネンシャルな思考とは何かを紐解いていきたいと思います。

1.  2001年宇宙の旅(1968年)

スタンリー・キューブリック監督によるこの作品はSF映画おける金字塔として現在でも評価され続けている不朽の名作です。簡単なあらすじとしては、「400万年前に猿人がヒトへと劇的な進化を遂げた原因と言われる謎の黒石板モノリスの謎を追求するために、2001年に人間が初の有人木星探査へと旅立つ。しかし、その宇宙船を制御するAI(人工知能)である「HAL 9000」が突如反乱を起こし、死闘の末に生き残ったボーマン船長はモノリスに遭遇して人間の知識を超越した領域へと到達する。」というものです。

ここで注目すべきは、今から60年以上前にも関わらず、キューブリック監督は人工知能の存在を予言し、さらに「人間が使用者で、機械・道具は使われるもの」という主従関係が変化して、AIを含むテクノロジーが使われるもの以上の影響力をもち人間の存在を脅かす存在に発展しているという未来を予測しているということです。2001年は既に過ぎてしまったものの、テクノロジー世界には2045年問題があります。

これは、AIなどの技術が、自ら人間より賢い知能を生み出すことが可能になるシンギュラリティが2045年に起きるというアメリカのレイ・カーツワイル博士による予測です。このAIが人間にとって脅威になる世界がくるかもしれないというシナリオは、どのように人間がAIと付き合っていけばよいかを議論するAI倫理という学問の発展につながっています。

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2.  マイノリティ・レポート(2002年)

もう1つのSF映画は、スティーブン・スピルバーグ監督と俳優のトム・クルーズ氏がタッグを組んだ、2002年公開の「マイノリティ・リポート」です。この映画で描かれているのは、「予知能力者が予測した未来に基づいて刑事が事件が起きる前に犯罪者を逮捕する」という監視・治安制度ができあがった世界です。

この世界が実際に起きようとしているのではないかと話題になったのが、2021年に米国の国防省が開発することを発表した「未来を予測するAI」で、このシステムはGIDE(Global Information Dominance Experiment)と呼ばれています。このGIDEは、軍事用センサーや商用のセンサーから入手したデータをもとに、AIや機械学習を利用して数日単位で未来を予測するというものです。アメリカでは銃乱射事件やテロなどの凶悪事件が多いため、米国の防総省は安全保障のためにこのシステムを使うことを検討しているのかもしれません。

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3.  劇場版名探偵コナンイカー街の亡霊(2002年)

最後に紹介する映画はSF映画ではありませんが、興味深い未来予測をしています。主人公の江戸川コナンたちは、新型仮想体感ゲーム機「コクーン」に入り、現実で起こった事件と、バーチャルゲームの中で起こる事件がリンクする中で、人工頭脳である「ノアズ・アーク」に挑むというミステリーです。

この映画に登場する「コクーン」とは、繭のような乗り物で、この装置と人間の中枢神経が接続されることで、視覚、聴覚、味覚、触覚、嗅覚という五感がコンピューターに支配され、VRの中で自由に動き回れるというテクノロジーです。

人間の五感のデジタル化や五感のハッキングというのはここ数年で話題になっているテクノロジー領域です。例えば、テスラの創業者であるイーロン・マスク氏が立ち上げたNeuralinkは、BMI(Brain Machine Interface)という大脳皮質に微細な電極を埋め込んで、神経細胞の活動電位を直接読み出し、外部に情報として伝えるデバイスを開発しています。このBMIが開発されると、人間の脳とコンピューターがつながる世界が実現されるかもしれません。

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まとめ

今回は3つの映画を紹介しましたが、他にも1979年公開のスタートレックや1982年公開のブレードランナーなど未来を予測したと言われるSF映画はたくさんあります。人間の想像力というのは大きな可能性を秘めており、一度描いた想像はいづれは具現化されて現実になるということを歴史は教えてくれています。皆さんもぜひ未来を予測するという観点で映画を楽しんでみてはどうでしょうか?

 

つねなり