働きアリの流儀

日本、タイ、米国の企業で働く3人組が日々の気づきを綴っています

ロシアのウクライナ侵攻から学ぶべきこと

みなさん、こんにちは。

今回はロシアのウクライナ侵攻について考察してみたいと思います。メディアで毎日のように報道されているウクライナの危機は、多くの日本人にとって遠い国のことのように感じるかもしれませんが、実は日本の問題に直結しています。

核を放棄することで独立を得たはずのウクライナ

本編に入る前に簡単にウクライナの歴史を見ていきます。詳細は割愛しますが、かつてソビエト連邦の一部であったウクライナには核兵器が集積されており、旧ソ連から独立する際にそれらを放棄(ロシアに移転)するという条件で、米英露がウクライナに安全保障を提供するブタペスト覚書が1994年に結ばれました。

しかし、ニュースの報道で分かるように、ウクライナの安全は大国によって守られておらず、ウクライナの人たちは必死で自分たちの国をロシアから守ろうと戦っています。つまり、どんなに他国と条約を交わしていたとしても結局は自国の安全は自分たちで守らなければいけないという時代になってしまっているということです。

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ロシアのウクライナ侵攻に反対する人々

日本では憲法で平和主義を掲げており、憲法9条で戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認を定めています。では、ウクライナにこの憲法9条があったら今回のような問題は起きなかったのかというと決してそうではありません。

カエルの楽園から考える日本の安全

ウクライナのニュースを目にしたとき、最初に思い浮かんだのは「カエルの楽園」という百田尚樹の書籍でした。彼の政治的イデオロギーはさておき、この書籍の内容は、日本でウクライナと同じことが起きるかもしれないという危機感を抱かせるものでした。

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カエルの楽園(百田尚樹

簡単なあらすじを説明すると、

  • 凶悪なダルマガエルの襲来により故郷の国から逃れたアマガエルのソクラテスと友人のロベルトがたどり着いたのは、岸壁の頂上にある平和で豊かなツチガエルの国ナパージュ(日本)でした。
  • 新天地を見つけたと安堵するソクラテスとロベルトでしたが、そこで暮らすツチガエル(日本人)たちは、ナパージュの平和は、「三戒」(カエルを信じろ、カエルと争うな、争うための力を持つな)によって守られているという奇妙な考えに心酔しており、平和なナパージュでの暮らしの中でロベルトまでもが三戒に心酔していきます。
  • 三戒を信じきれないソクラテスは、ナパージュで一番の物知りと言われるデイブレイク(朝日新聞)や毒舌な嫌われ者のハンドレッド百田尚樹自身)、北の山に棲むワシのスチームボート(アメリカ)、ウシガエル(中国人)と戦えるほどの強さを持つがゆえに嫌われているハンニバル三兄弟自衛隊)などに出会い、三戒の起源やナパージュ周辺の状態を知ることになります。
  • そのナパージュに、南のウシガエルたちが迫ってきたにも関わらず、多くのツチガエルたちはウシガエルは友好的で無害だという主張を信じて、自分達の手でウシガエルを追い払ってナパージュを守ることを拒みます。
  • 妥協案としてスチームボートに南の崖を飛んでもらうことにしたものの、スチームボートは自分がウシガエルとの戦いになった時はツチガエルたちも共に戦うよう要求します。しかし、ツチガエルにとってそれは三戒違反になるため、それを拒みました。結局、スチームボートとの約定は御破算になり遂にウシガエル達の侵攻が始まります。 

ja.wikipedia.org

私は決して戦争をすることを肯定しているわけではありません。そうではなく、自分の信じたいものだけを信じて思考停止に陥り、世の中や社会の変化に伴って刻々と迫っている危機に対応できなくなることがどれだけ恐ろしいかということを伝えたいのです。

何を信じるのか?

また、今回のウクライナの危機で恐れるべきなのは武力による侵攻だけでなく情報操作や情報統制です。例えば、ロシア当局は、徹底的な情報操作で世論を誘導し、国内からの反発を抑え込もうとしており、「プーチン大統領ウクライナファシストからロシアを守っている」と軍派遣に賛成する人も多くいることも真実です。

さらには、日本のメディアで報道されている情報が必ずしも正しくないということも理解しなければいけません。最近はSNSの普及でより複数のソースから情報を得ることができるようになったものの、フェイクニュースなどが蔓延り、何を信じて良いかますます分からない時代に突入しています。

情報リテラシーというと平易な表現になってしまいますが、自分が見聞きするものの多くは既に誰かのフィルターを通じて加工された情報であり、それを鵜呑みに信じることは自らの身を脅かすことにもなりかねません。できるだけ複数のソースから情報を得て、それらを照らし合わせることで、できるだけ真実に近づこうとする姿勢が、これからの時代を生き抜く上でとても重要になってくると思います。

これはあくまで個人的な意見ですが、世の中には絶対に正しいものはなく、正義の反対にはもう1つの正義が存在することが多々あります。どちらの正義を信じるかはあくまで自分の価値観や軸に依存するため、いかに自分のアイデンティティ(自分は誰なのか)を確立するかが、不確実性の高い現代の唯一のコンパスな気がします。

 

つなねり